

このページでは売主にとって非常に重要なポイントである、「売買契約時の注意点」について必ず事前に押さえておきたい内容をまとめています。要必読です。
買主さんとの売買契約交渉がまとまると、いよいよ売買契約をすることになります。
不動産売買は一生の中でも特に大きな金額が動く契約であり、買主、売主ともに多くの契約書に署名捺印をすることになります。契約する書面の一部を挙げたのが下記。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 物件状況等確認書
- 付帯設備表
- 支払い約定書
- 領収書
まだ他にも多くの書類が必要になりますが、それぞれの書類は仲介不動産会社が作成してくれます。ただし、仲介会社がやってくれるからといって手放しに任せるのはNG。
売主もしっかりと確認すべき重要な点があります。
買主はローン特約をつけるのが一般的だけど
買い手が住宅ローンや投資用ローンを組まない場合は気にする必要がありませんが、不動産売却で買い手側は多くの場合ローンを組むのが一般的です。
このローン審査が通っているかどうかは、売主にとってはとても大きなチェックポイント。ローン審査が通っていない場合は、まだ売買契約を交わすべきではありません。
もし審査前なのに売買契約を交わしてしまっている場合は下記のリスクが発生します。
- 契約時にもらった手付金は返還しなければならない
- 契約書添付の収入印紙代数万円分も無駄になる

「特約」という安全そうな言葉ではありますが、結局売主は損をすることになるだけですので注意してくださいね。
もちろんローンが通る前に契約をさせるような不動産会社は正直もう「悪徳業者」としか言いようがありませんが、信じられないことに契約を急ぐあまり審査前にも関わらず売買契約を結ばせる会社もあるのです。
買主のローン審査内諾前に営業マンが売契を勧めてくる場合もある
買い手の住宅ローン(または投資用ローン)審査がとおっていないのに、「大丈夫でしょうから先に契約しておきましょう」と営業マンが伝えてくる場合があります。
これは両手仲介を狙って早めに契約を確定させたい意志が見え隠れします。
けれども、住宅ローン審査が通らなければその契約は白紙撤回となり、またイチからやり直しとなります。審査が通る確率や可能性が高いから大丈夫、という判断を不動産会社側がしていたとしても、絶対に契約は交わすべきではありません。
ローン審査後に売買契約をする
一般的な銀行住宅ローンでは、契約前に「事前審査(仮審査)」があります。これは、とりあえず大まかな金額で審査が通るのかどうかを審査するというもの。ほとんどの場合にこの審査は行われます。
この審査が行われることで、保険料や担保評価額、信用調査が行われるので、余程のことがない限りは次に行われる本審査も通過することになります。
ちなみに仮審査では下記の内容が見られることになっています。
- 資金計画や現状の自己資金
- 勤務先と勤続年数
- 年収
- 家族構成
- 上記に基づいた資金スケジュール
- 他社への借入状況
※ちなみに投資用ローンの場合は事業計画書や家族、親族の資産情報、物件の詳細情報など更に細かな書類が必要に。プロバー(事業性)ローンの場合はさらに決算書など法人としての詳細資料も必要になります。
特に年収や勤務先が重視された上でここまで審査されるので、審査が通過した場合には「安定収入が今後も見込める=支払いが滞る可能性は低い」と判断されたことになります。

買主のローン審査が通過したらもちろん契約書を交わして問題ありません。
最も重要なのが「売買契約書」と「重要事項説明書」のチェック
もっとも重要かつ気をつけるべきなのが「売買契約書」。この契約書の内容で売買の全てが決定されるので、中身を見ずに任せておくのは絶対にNGです。
けれども、よくありがちなのが「こちらで書類を作成しましたので、捺印だけお願いします!」とろくに説明もしないでポンポン印鑑だけ押させるような営業マンも少ながらずいます。
彼らがよく言うセリフが下記。
- 「大手でも同様の内容のものになっていますので」
- 「書類が多くてスイマセン、捺印だけで結構ですので」
- 「形式上のものですから」
こんな内容でとりあえず印鑑を押させようとするなら最悪です。契約書の内容はきちんと説明をする義務があり、また最終確認として必ず売主もチェックをするべきものです。

この2つの書面面倒でも隅々まで確認をした上で、契約内容に不備はないか、疑問や不明点などは全てクリアになっているかをチェックして不明な点は質問をしてクリアにしておきましょう。
手付金期日の設定はできる限り短くしておくのがおすすめ
売主さんがもらえる手付金は一般的には5~10%を設定するのが相場です。この手付金で一番覚えておくべき点が、「期日」。
特に大型マンションの売却で見受けられるのが、同じような物件内容で相当値段を下げた物件が出てきた場合。手付期間中にこういった物件が出てしまうと、解約されるリスクが高まります。
さらに、その安い物件がそのマンションの相場価格と認識されてしまった場合、今後自分の物件売却が厳しくなってくる可能性が高まります。

解約リスクの確率を少しでも下げておくためにも、手付放棄ができる期日は可能な限り短めに設定しておくことがおすすめです。
契約時に必要なもの
契約当日に持参するものは下記です。
- 実印
- 印鑑証明
- 権利証(登記識別照明情報)
- 本人確認書類
※法人の場合は上記に加えて法人印、登記簿謄本、法人の印鑑証明書が必要です。
これが全てが必要で、特に権利証は最重要書類となりますので、事前に確認をして準備しておきましょう。
不動産登記の注意点
不動産登記は買う時だけではなく、売却時にも買主と協力して登記手続きを行う必要があります。売主のほうが買主よりも一般的には手続きが面倒になります。
たとえば、所有権移転をする際にはこんな違いがあります。
- 買主:住民票、三文判でOK
- 売主:実印、印鑑証明が必要
これは、なりすましや騙しなどの違法行為を未然に防ぐために売主側に対する法的効力を強めることで犯罪を防止していることが伺えます。
また、書類の不備などがあれば、法務局は受付すらしてくれません。
また、登記に時間を要するケースとして下記が多く見受けられます。
住所変更手続きが終了していないケース
不動産を旧住所で登記購入した後、例えば転勤で引っ越しなどしていると住所変更が必要になります。つまり、住民票を移す時には住所変更登記が必要になるわけですが、これをほったらかしにしているケースがとても多く見られます。
相続後の登記が終わっていないケース
相続後は当然名義変更(相続登記)をする必要がありますが、相続登記には、
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 実印
この3点が必要になりますのでそれなりに時間が必要に。また相続発生で親族が揉めるケースがあるかもしれません。
この不動産を売却するとなると、買主さんにも多大な迷惑を掛けることになるので早めの対応が必要です。
まとめ
特に初めての不動産売買では、一生に何度もあるような契約ではないため、なんとか成功させたい、早めにクリアさせたいと気持ちがはやる場合がありますが、最終の契約時にはじっくりと構えて全てを整えてから、という気構えが必要です。
また売買契約書には素人目にはややこしいことが書いてあるように見えるのでどうしてもよく読まない売主さんもいますが、最低売買契約書の内容だけは理解してから捺印することを強くおすすめします。
あとで何かトラブルがあっても取り返しがつきませんので…。
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